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AIHUASHEN オントロジー非公開研究会:11の経営者質問が映した企業AI変革の最も「痛い」認識ギャップ

6月26日、「オントロジーの認識と応用実践」をテーマとする企業AIエージェント非公開研究会が広州で開催された。金融・エネルギー・製造・小売・行政サービスなどの分野から企業責任者十数名、および知能化変革を担う意思決定層が参加した。研究会はAIHUASHEN副社長の陳軍(Jackson Chen)が講師を務め、「AIに企業を理解させ、知能を経営に参加させる」という中心命題を軸に、技術導入という浅瀬から、業務の本質とオントロジーの運行論理を体系的に理解する深みへと参加者を導いた。

核心的な洞察:企業AIの分水嶺は、モデルがどれほど強いか、計算資源がどれほど大きいかにあるのではない。業務の中に埋もれた暗黙の「なぜなら……ゆえに……」という論理の連鎖を、実行可能・監査可能・進化可能なオントロジーとして明示できるかどうかにある。

オントロジーの認識と実践応用研究会で講演するAIHUASHEN副社長の陳軍
本研究会で講師を務めたAIHUASHEN副社長の陳軍

一、背景:「データガバナンスの隘路」から「業務論理の連鎖」への問い

議題は、現在の企業AI活用における最大のボトルネックに正面から切り込んだ。データガバナンスに何年も取り組み、多くの資源を投じてきたにもかかわらず、なぜAIは業務を真に理解できず、業務論理にかなう判断を下せないのか。

企業の日常業務では、重要な判断の多くが「Xだから、Y」という暗黙の論理に支えられている。たとえば「なぜこの顧客の与信は否決されたのか」「なぜこの受注は特別承認を経たのか」。こうした判断の背後には、明確な業務論理の連鎖が存在する。しかしその連鎖は、経験や慣例、断片的な文書という形で組織の内側に留まり、体系的に表現されにくい。結果として、AIが手を伸ばせない「暗黙知」となってしまう。

問題の核心はここにある。企業に足りないのはデータではなく、「データ間の関係と業務ルール」を構造化して表現する力——業務プロセスを貫く、あの暗黙の業務論理の連鎖なのかもしれない。

今回の非公開会の焦点は、まさにこの「連鎖」を暗黙から明示へ、曖昧な経験から計算可能・表現可能な構造化された業務資産へと転じ、企業級エージェントが業務を理解し意思決定に参加するための支えとする方法にあった。

二、講演:オントロジー——データサイロから意味ネットワークへの技術進化

陳軍は一つの比喩から研究会を切り出した。「企業を生命体にたとえるなら、データは血液、計算力は筋肉、そしてオントロジーは脳と神経系にあたります。企業が自らをどう認識し、環境とどう関わるかを定義するものです。」

続いて陳軍は、社内に散在するERP、CRM、OAといった異種システムから「顧客」「受注」「契約」などの中核的な業務オブジェクトを抽出し、それらの間に意味的な関連ネットワークを構築する過程をデモで示した。

陳軍はこう指摘する。「これまでのデータレイクやデータ基盤のプロジェクトが知能化変革の期待ROIをもたらせなかった根本的な理由は、データが人間に読ませるためのものであり、AIが理解できる意味層を欠いていたことにあります。AIに見えているのは、孤立した無意味な数字と文字列の山にすぎません。」そのうえで彼は、企業級AI技術の進化の道筋を体系的に整理した。外部知識に依存するRAG(検索拡張生成)から、社内ナレッジグラフの関連を取り込むGraphRAGへ、そして最終的に企業自身の業務論理を中核に据えるOAG(オントロジー拡張生成)へ、という道筋である。

オントロジーは企業だけが持つ堀である。外部の大規模モデルの能力に依存せず、社内に暗黙のまま口伝されてきたノウハウを、継承可能・最適化可能・実行可能な構造化資産として明示する。

オントロジーは業務が「何であるか」を記述するだけでなく、システムが「何をするか」を駆動できる。

彼は、中国で初めてA株に上場した都市サービス企業・僑銀股份の事例を引いた。同社はAgentrixによって業務オントロジーを構築し、複雑なリアルタイム配車、プロセス連携、リスクの事前介入、異常の事前警告といった運行論理を明示化。業務オントロジーと世界行動モデルに基づく動的な意思決定最適化により、運営効率の顕著な向上とコスト削減を実現し、配車応答をこれまでの時間単位から分単位へと短縮した。

陳軍は、企業変革が情報化(ITシステム構築)からデジタル化(データ駆動のプロセス)を経て、最終的にAI化(エージェントが経営に参加する段階)へ向かっており、オントロジーこそがAI化段階を支える基盤インフラであると論じた。

三、会場質疑応答

研究会の最後は参加企業との質疑応答に充てられた。参加企業のオントロジー理解はすでに概念の域を離れ、技術実装と事業リターンの機微にまで踏み込んでいた。

1、意味の統一:社内の異なるシステムが同じ対象を別々の名前で呼ぶとき、AIはどう正確に理解し、検証まで行うのか。

企業からの質問:「当社のERPは長年使っており、多くのテーブル項目に統一されたデータディクショナリがありません。たとえば『在庫』は、財務・生産・倉庫のどの視点から見るかで意味が変わります。ディクショナリがない状態で、テーブル名と項目名だけを見て、AIはどうやって各項目の本当の業務的意味を知るのでしょうか。」

AIHUASHEN プロダクトエキスパート 斉暁西:「多層的な戦略を採ります。まず、Agentrixは企業に既存のデータディクショナリがあれば、それを権威ある出典として優先的に利用します。存在しない場合は、大規模モデルがテーブル構造、項目命名の規則性、テーブル間の関連、業務文脈をもとに項目の潜在的な意味を推論し、注釈を生成します。続いて業務の専門家がAIの推論結果を検証・修正し、人と機械が協働する意味注釈のループを閉じる。二重の安全装置というわけです。」

企業からの質問:「ERPとCRMでは『顧客』を定義する項目も呼び方も異なります。クレンジング後、それらが同一の対象だとどう判断するのですか。」

AIHUASHEN プロダクトエキスパート 斉暁西:「意味統一ルールと源泉クラスタリングの仕組みで解決します。システムは異なる命名(client_codeとcustomer_idなど)の対応関係を自動的に発見し、データリネージ分析によって検証します。本質的にAgentrixは、個別システムの命名を超えた、統一的な業務オブジェクトの認識層を築いているのです。」

2、ルールエンジン:社内規程の想定を超える例外が起きたとき、AIはどう認識し、既存ルールを改善するのか。

企業からの質問:「当社には店舗の賃貸契約が多数あり、賃料の計算方法は文章で書かれています。ルールは人手で一つずつ登録するのでしょうか。それともシステムが契約文書を読み取り、構造化された計算ルールを自動抽出できるのでしょうか。たとえば『金額が500万を超える場合の扱い』という記述を、AIが実行できる構造化ルールに変換できますか。」

AIHUASHEN プロダクトエキスパート 斉暁西:「当社のシステムは、Word、PDF、スキャン画像、Excelなどの非構造化文書を自動解析し、構造化された業務ルールを抽出できます。たとえば賃貸契約から『固定賃料+売上歩合』という計算ロジックを識別します。もちろん手動での定義・保守も可能です。さらに、過去の操作データから暗黙のパターンを見つけ出すこともできます。ある種の費用申請が常に予算を超過しながら常に承認されているなら、システムはその『黙認ルール』を学習し、明示化を提案します。」

企業からの質問:「社内規程ですべての偶発事象を列挙することはできません。たとえば出張精算には標準運賃がありますが、急な案件で正規運賃の航空券しか取れないこともある。こうした例外にルールはどう対応するのですか。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「当社のDataOSルールエンジンは三層のハイブリッド推論機構を採ります。第一に、OWL制約ルールが確定的で明文化された規程要件を論理推論で処理します。第二に、機械学習が過去の承認データから『黙認ルール』——明文化されていないが実務上一貫して通っているパターン——を抽出し、正式ルールへの固定化を提案します。第三に、大規模モデルが規程では列挙しきれない例外、たとえば急な案件による基準超過の出張費申請などに柔軟に適合します。」

AIHUASHEN 副社長 陳軍:「オントロジーの重要な能力の一つが自己進化です。システムは過去の操作データに基づいて学習を続け、新しいルールの生成や既存ルールの改善を提案できる。企業の制度体系が、事業の発展に合わせて動的に進化していくわけです。」

Agentrixの三層アーキテクチャと全領域の認知ループを解説するAIHUASHEN副社長の陳軍
Agentrixの三層アーキテクチャ「Data OS+Agent OS+Agent Workforce」の解説

3、意思決定推論:重要な業務局面で、AIの推論を「数学的証明」のように厳密で明快なものにするには。

企業からの質問:「当社の入札評価チームは7人で構成されますが、過半数の判断が揺らげば評価結果の信頼性が落ちるのではと常に懸念しています。最終判断をAIに委ねられますか。そして、AIの判断が『当てずっぽう』でないとどう確認するのですか。」

AIHUASHEN プロダクトエキスパート 斉暁西:「AIは評価や監査を担えますが、商談など重要な局面には人が関わる必要があります。AI支援の核心的価値はブラックボックスの答えを出すことではなく、完全で追跡可能な推論の証拠連鎖を提示することにあります。たとえばサプライヤー評価では、ある業者の価格が高すぎる可能性を示すだけでなく、過去契約との比較、業界基準からの乖離、あるいはどのルールチェックが作動したのかまで提示します。一つひとつの判断にデータかルールの裏づけがあり、全過程を遡れる。人が『何を根拠に、どう判断するか』を明確に定義できさえすれば、AIはその判断連鎖を学び、再利用できます。」

AIHUASHEN 副社長 陳軍:「これは本質的に、論理的な確定性と確率的な当てはめの違いです。大規模モデルは確率に基づくため、今日は正解でも明日は誤るかもしれない。一方オントロジー推論は、定義済みの論理ルールとデータに基づく演算です。ルールとデータが正しければ、結果は確定的で再現可能になる。オントロジーは、AIの思考過程を数学的証明のように明快にします。」

企業からの質問:「過去十年の全サプライヤー契約でAIを学習させ、新規サプライヤーの見積もり時に価格が高すぎるものを自動的に示す——そうしたことは実現できますか。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「領域内の過去データによる価格分析は容易です。ただし契約価格は社内データだけでは測れません。市場環境や景気循環の影響も受けるため、多元的なデータ分析が鍵になります。調達責任者が判断根拠を明確にできるなら——『鋼材の市況が直近で15%上昇したため、この見積もりを承認する』——AIはその因果関係を記憶し、次に類似の市況に直面したとき自動的に適用します。問題の核心は、やはり証拠連鎖が完全かどうかです。」

企業からの質問:「水道やエネルギーの分野には複雑な業務ルールが多くあります(たとえば下水処理の曝気槽への酸素供給量など)。専用の予測モデルを訓練する必要がありますか。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「場面を分けて考える必要があります。単純な見積もり比較やコンプライアンス確認は、明確な証拠連鎖に帰着できるので、人が一度判断すれば以降はAIが実行できます。しかし生産現場の複雑な工程制御は、熟練者の経験モデルとリアルタイムのセンサーデータが絡むため、専用の予測モデルの訓練が確かに必要です。当社のオントロジーシステムはそうした専門モデルを内包し呼び出すことができ、業務ルールから制御戦略までの完全なループを形づくります。」

AI支援による調達評価の推論証拠連鎖の図:データ出典、推論ステップ、意思決定ノード
AI支援の調達評価:一つひとつの判断がデータ出典と推論ステップまで遡れる

4、PaaSアーキテクチャ:大規模モデルに依存せず、オントロジー推論に基づくAgentrixは業務的に確定した論理実行である

企業からの質問:「大規模モデルの汎用能力には差があります。労力をかけて優れたオントロジーを築いても、接続する『頭脳』(大規模モデル)自体が賢くなければ、どうすればよいのでしょう。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「当社はモデル非依存のPaaSアーキテクチャを採用しています。システムの中核となる方針判断の論理はすべてオントロジー層が担い、『どの条件下でどの動作を実行するか』を定義します。大規模モデルは主として効率的な自然言語インターフェースとタスク実行器の役割です。ですからパラメータの小さいモデルを接続しても安定して動きます。さらに重要なのは、外部モデルの能力に全面的に依存する企業は、自らの堀を築いていないということです。真に複製不可能な競争力は、企業自身の業務データ、練り上げられた業務ルール、そして業界ノウハウに根ざした因果関係のネットワークにある。それらがオントロジーによって構造化されてはじめて、企業知能の核心的な参入障壁となります。」

オントロジーの認識と実践応用研究会の会場で議論に参加する企業代表
オントロジーの認識と実践応用研究会の会場

大規模モデルへの強い依存が抱える潜在的な問題:モデルの能力が天井となり、成果は選んだモデルの汎用能力に縛られる。競合も同じモデルを使えるため中核的な参入障壁がなく、同質化が進む。API利用料はモデルの価格改定に左右され、供給網リスクも残るため、コストとリスクが制御しにくい。業務論理がブラックボックス化し、複雑な意思決定過程の監査と説明が難しくなる。

オントロジー駆動・モデル非依存の道筋が持つ本質的な強み:中核の判断ルールを企業自身のオントロジーが担うため業務論理が自律し、確定性が高い。競争力が独自の業務ナレッジグラフに由来するため、複製困難な専用の堀を築ける。最も費用対効果の高いモデルを柔軟に選べ、特定ベンダーへの固定化を避けられる。推論が明示的なルールと証拠連鎖に基づくため、過程が透明で全工程を監査できる。

企業からの質問:「導入の過程で、知能システムの正確性はどう担保しますか。大規模モデルのような『幻覚』は起きませんか。また業務ルールが変わったら、システム全体を作り直す必要がありますか。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「オントロジーに基づく推論は業務的に確定した論理実行であり、大規模モデルの確率的生成とは本質的に異なります。書かれたプログラムと同じで、入力とルールが正しければ出力も必ず正しい。結果が誤っていれば、必ず特定の論理箇所のバグ(ルール定義の誤り、データマッピングの誤りなど)まで遡れ、修正できます。根絶しがたい大規模モデルの『幻覚』とはまったく別物です。業務ルールが変わった場合も、業務の専門家がオントロジー層で該当するルール定義を修正・追加するだけでよく、複雑な機械学習モデルを再訓練する必要はありません。保守コストと複雑さは大幅に下がります。」

企業からの質問:「一般の業務担当者がオントロジー構築に直接関われますか。たとえばデータを照会して、その場で新しい指標や新しいオントロジーとして記録し、コストを下げ速度を上げる、というように。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「それこそ企業エージェントシステムの進む方向——自己反復です。ただし企業級の応用では、柔軟性と規範性の均衡が欠かせません。当社は知識をデータベース(とりわけグラフデータベース)に沈殿させるべきだと考えており、すべてをモデルの文脈に詰め込むことは推奨しません。鍵となる転換は、『経験を丸ごと放り込む』から『関係を漸進的に発見し、必要に応じて取得する』へ移ることです。高頻度で価値の高い操作は、再利用可能なスキル(Skill)として固定されます。現状スキルの実装には技術者の関与が必要ですが、目標は業務担当者が自然言語の記述だけで、こうした業務論理モジュールを迅速に生成・改善できるようにすることです。」

5、協業モデル:ツールを納品するのではなく、「まずオントロジー、次にガバナンス」で一歩ごとに事業価値へ錨を下ろす

企業からの質問:「御社の企業級AIシステムを導入する場合、具体的な協業モデルはどうなりますか。ソフトウェアライセンスの販売か、サブスクリプションか、それとも別の形でしょうか。」

AIHUASHEN CTO 郭林:「当社は合弁による共同構築という深い協業モデルを重視します。標準化されたソフトウェアを売るのではなく、顧客と共に投資し、リスクを分かち合い、成果を分かち合う形です。オントロジーの構築には業務の深い理解が要るため、ツールを納品して終わりにはなりません。これはシリコンバレー企業のフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)の考え方を参照したもので、専門家を長期に常駐させ、業務担当者と共に働きます。投じる資源は戦略級のデジタル変革に属します。まず具体的な場面のパイロットから始め、成果が見えてから中核プロセスへ段階的に広げることを推奨しています。この『まずオントロジー、次にガバナンス』という道筋であれば、一歩ごとの投資が事業価値に直結し、従来のデータプロジェクトにありがちな『納品した途端に立ち枯れる』悪循環を断ち切れます。」

企業オントロジー非公開研究会、次回を準備中です。企業向けエージェントのカスタマイズ提案のご相談、次回研究会のお席のご予約は、AIHUASHENまでお問い合わせください。

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